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2011年1月の2件の記事

2011/01/30

飛行機雲

広島は尾道も、晴れているけれど風が吹いて雲が流れときおり小雪がちらついたのでした。
昼にお風呂に入って、ユニクロでジーンズとカーディガンを買った。

iPhoneで調べた良さげな珈琲専門店に行ってみたのだけれども、大はずれだった(笑

過去の写真を整理していたら、ちょうど一年前に撮った飛行機雲の写真があった。
漠然とだけど、なんだか文章が書いてみたかったので、飛行機雲と言うタイトルで
文章を書いてみた。

E3319149

E3 + ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8


「飛行機雲」

一月最後の日曜日、暮れ行く峠道をくだり10分程で家に到着しよ
うとしていた時、ユミは助手席から僕に尋ねた。

「あれって飛行機雲なの?」

彼女が指差す方向、進行方向に向かって左、すなわち助手席の窓を
ちらっと横目で見ると、南南西の空に一筋の雲が見えた。一瞬だっ
たけど、たしかにそれは飛行機雲のようだった。

この辺りで飛行機雲が見えるなんて珍しいな、と僕は思った。と言
うのもこの空域を飛行機が通る事は殆どないからだ。自慢じゃない
けど、僕は空を眺める事についてはなかなかの専門家で、いつ、ど
こに行けばどんな空が見えるのかを知っていた。

もちろん、飛行機雲や飛行機が見たければ、どこに行くべきなのか
と言うのは熟知していたし、今こうやって車を走らせているその先
にある空は、僕の知りうる限り飛行機や飛行機雲を見る事が出来る
空ではなかった。

峠を下りきる手前、見晴らしのよい右カーブの路肩に僕は車を止め、
ストールを首に巻いて彼女が指摘した飛行機雲を眺めてみた。
風はなく、傾いた太陽の日差しが眼下の森を黒い影に変えていた。

雲は左から右へ、ゆっくりとではあるがさっき見た時よりも伸び続
けているようだった。尻尾は上空の風に流され広がっていて、墨を
浸け過ぎた筆で書いた様な”一の字”のように滲んでいた。先頭はサ
グラダ・ファミリアの尖塔の様に細く尖っており、ゆっくりとでは
あるけど先端は西の方へと進んでいるようだった。

僕がその雲を眺めている間、彼女は車の中から僕の後ろ姿と雲を交
互に眺めているようだった。彼女の視線や気配を僕はたとえそれが
背中に向けられている時であっても感じることが出来るのだ。
雲を眺めながら、残り少なくなったタバコを口にくわえ、火を点け
ようとコートのポケットを探っていると、彼女は車から降りて来た。

「そこにはないよ、ここにある。」

ライターを手渡す彼女の手は、車の中にいたのにもう冷えていた。
僕は左手で受け取ったライターを右手に持ち替えタバコに火を点け、
左手で彼女の右手を掴んで自分のコートのポケットの中に入れた。

「あったかいね。」と、彼女。

しばらく二人でその雲を眺めていた。

「ここを飛行機が通るなんて珍しいな、チャーター便か何かかな。
方角から行ってあれは香港へ向かう便かな?」と僕が言うと、彼
女は「うん」とだけ言って頷きコートの中の僕の手を少し強く握
った。恐らく寒いのだろう。

「香港じゃなくてオーストラリアかもしれないよ。きっと、あった
かい所に行く飛行機。」

彼女は雲を眺めながら、それがこの寒い日本ではなく暖かいオース
トラリアへ向かうのだと考えているようだった。それは、飛行機が
向かっている空路や時間帯を論理的に考えて導きだされて来た言葉
ではなく、彼女自身が感じている今の状況にから出て来た言葉のよ
うだった。すなわち「寒いのであったかい所に行きたい」だ。

「香港も日本よりあったかい。ユミ、それより大丈夫?寒くない?」
と僕が尋ねると彼女は手を緩める代わりに僕の肩に自分の頬をくっ
つけて、寒そうな声で「まだだいじょうぶ。」と言った。

雲の先端は、さっきよりも西の方へ延びていた。先端を凝視すると、
西日を受けて時折小さくキラリと光るのが見える。やはり飛行機だ。
僕が彼女にそれを教えようとした時、彼女は僕の目を覗き込んで
「見えるよ」と言った。

傾き始めた太陽が沈むのは早い空は青から薄紅色に変わり、周囲は
すっかり黒の度合いが多くなっていた。

「あったかいところ。」と彼女はその雲を眺めながら言った。

車に乗り込み、家に向かって車を走らせる。彼女はまだ風に流され
ずに残っている飛行機雲を飽きずに眺めている。

FMラジオをつけると「今夜さらには冷え込み、平野部でも小雪が
ちらつくでしょう」と、お天気アナウンサーの声が聞こえてきた。
その声の後ろの軽快なBGMを聞きながら、これはカシオペアだった
かな?と考えていると、彼女が僕の方を向いて大きな声で言った。

「雪だって!」
「そうみたいだね、でも寒いよ?」
「でも雪だよ!」

考えてみると、彼女と雪を一緒に見た事はなかった。見たいねと言
いながらも、もう何年も一緒に居る時に雪が降った事は無かった。
「そうだね、降ると良いね」と僕が言うと「一緒に雪を見るんだ。」
と彼女は言った。

家の手前でスーパーに寄った。ブロッコリーや豆腐を選びながら、
ショッピングカートを押しながら、メインは何を食べようかと考え
ていると「今夜は肉を焼きます、オージービーフです。」と彼女が
言った。僕は、売り場のPOPや原産地証明書を見ながら答えた。

「うん。あったかい国の牛さんを食べます。飛行機で届けられまし
たって書いてあるね。」

明日の朝食用のパンや、きれていたイチゴジャム、ちょっと高価な
バター、野沢菜の漬け物、そしてビール等を物色し、買い物を終え
外に出ると、すっかり日は暮れあたりは暗くなっていた。

北の空はとても暗くて、さっきまでなかった雪雲らしきモノが暗い
空にさらに暗い色で浮かんでいた。彼女の右手と僕の左手をポケッ
トに突っ込み、車に向かって二人で歩いた。西の空にはもう飛行機
雲はなかったけれども、飛行機の赤色灯らしきものが点滅している
のが見えた。

ここは飛行機が通らないはずなんだけどな?と思いながら、けれど
もそれはきっと「オージービーフ」を運んでくる飛行機なんだろう
なと僕は思うことにした。

北の空の雪雲は、さらに暗さを増して黒く膨らんでいた。きっと今
夜は雪が降るのだろう。歩きながら今夜降るであろう雪の事と、さ
っきのあのカシオペアの曲はどのアルバムに入っていたのかなと考
えていると、彼女はなぜかちょっと笑いながら「あったかいね。」
と言った。そして、ポケットの中で僕の手を強く握りしめた。


(了)


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2011/01/05

生存確認と謹賀新年。

なんとか生きている。
そしてなんとか新しい年を迎えられました。

年末年始は久しぶりに写真を撮った。
アップしてるのは子供の写真だけですけれども(笑)。

E33108410


E30108490


E-3 + ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5


心や感情の問題を思い通りに出来るのは自分自身だけだ。

されど父親と言う立場で客観的に見た時に、どうにかしなくちゃならないと思うことも実は多々あって。

今は申し訳ないけれども、いずれは分かるという風に前向きに捉えていかなきゃやってらんない。

無駄であっても出来る限りの努力はする。

つらつらとそんなことを思う日々。


それにしても、あそこまで行くとほんとに病的だとしか思えないな、やれやれw

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